理由

先週末は社員と一緒に食事へ行ってきました。若い男性3人ですから、当然のごとく焼肉。しかも「食べ放題」。僕も焼肉は食べますが、「食べ放題」はおそらく15年以上ぶり。

ここ数年は「ロース」や「カルビ」よりも脂身が少ない「赤身」を好んで食べるような年頃になってきました。寂しいことに量も以前の半分くらい。ですから、「食べ放題」は食い負けするわけです。お酒も飲みませんから、せいぜい客単価2,000円~2,500円。あまりいい客ではありませんね。

今回は以前から噂を聞いていた「焼肉きんぐ」に初めて行ってみました。さすがに人気店だけあり、夕方17時半くらいから待ちの状態。黒と木のベージュ色を基調とした内装は落着きと躍動感が同居しています。大手チェーンはこういう店づくりが上手いですね。

店内は若者や若い家族連れで一杯。20~30分ほど待って、笑顔でよく教育された若い学生アルバイトに案内されます。メニューは100分の食べ放題で2,480円、2,980円、3,480円の3段階と決して安くはありません。フリードリンクも別料金ですから、ウチの夫婦や家族だけだとかなり頑張っても元はとれないでしょう。

タッチパネルで注文すると、すぐさまテーブルに配膳されます。調理が必要ないと言えども、腹を空かせた肉食の若者に、このスピード感は魅力ですね。ロースやカルビ、ミノやホルモンといった定番の他にも、肉厚ステーキやハラミ、タンをそれぞれ塩やタレが選べるなどバラエティも豊富。

スープやサラダ、デザートなどのサイドメニューも充実していて、20代~30代にはかなり支持されていると思います。おそらく肉の質は・・・なのでしょうが、柔らかく臭みもありません。

回転すしの「スシロー」などもそうですが、「しくみ」の勝利だと思います。本当によく考えられています。僕の浅い知識で分析すると、会社帰りや家族など4~6人程度の若い少人数の団体をターゲットとして、アルバイトの接客も「笑顔」と「挨拶」、「言葉づかい」や「サービス」がちゃんとしていてカンジがイイ。少しカジュアルだけど、砕けすぎてないし。

ターゲットを明確にして、その層の顧客の趣向をよく知っているなぁ・・・と感心した次第です。「焼肉の食べ放題に来る客とはどんな客か」、「来てほしい客はどんな客か」ということを相当シミュレーションされたのではないかと思います。

捨てているものもあります。まず、食べ放題に特化しているので、僕のような50歳以上は厳しいでしょう。巷には1,500円~2,000円の焼肉バイキングや客単価5,000円以上の高級焼肉店もありますが、ちゃんと差別化できていると思います。このあたりの客層も捨てているわけです。

客単価は3,500~5,000円ですから、肉をたらふく食べて飲んでという飲み会感覚と位置付ければ高くはないが、「会社帰りにちょっと食事して・・」というシチュエーションには少し高いと感じるかもしれません。

休日や会社帰りの息抜きを仲間や友人と一緒に過ごすため、3,500円程度で楽しくがっつり食べて飲む。二次会へは行かずにスタバでまったり過ごして満足できれば、決して高くはないでしょう。現代の若者はお金の使い方が上手です。

狙った客層の顧客満足度を高め、企業としての収益を上手くバランスさせているのでしょうね。こういう飲食店が最近はかなり増えてきたように思います。

やはり流行るお店にはちゃんと「理由」がありますね。逆に美味しくない店は問題外としても、美味しいのに「流行っていない店」にも理由があります。お客様は正直です。

マーケティングの基本と言われる、Product Place Price Promotionの4Pがキッチリとターゲットを向いていました。メニュー、しくみ、店づくり、接客に「一貫性」と「具体性」を感じました。

流行っているお店で、「なぜ流行っているのか」を考えるって面白いですね。客層の紐付やライフスタイルのセグメントなどを連想することも興味深い。但し、チェーン店って流行り廃りのサイクルが短いのも事実。

常にクオリティを高めていかなければ、お客様はより魅力的な新しいビジネスモデルのお店に移っていくでしょう。流通小売ではセブンやイオンも相当頑張っていると思います。我々中小企業はこれらの進化している大手企業を意識しながらも、アプローチの手段を変えていかなければ寡占化に呑み込まれてしまうと思います。

時流を見据えたビジネスモデルは、時代を乗り越えていく上でなくてはならないツールです。けれど、あまり愛想はなくても、融通がきかなくても、僕は古くから「より本物」を提供してきた地元の頑張っているお店を応援したい。なぜなら、それらのお店には地域と共に育ち、地域と共に過ごした歴史と「人の生身の温かさ」があるからです。こういうことを言い出し始めたのも、「年をとった」というちゃんとした理由があります(笑)。

しかし、社外のことはよく見えるけど、社内って案外見えないんですよね・・・(苦笑)。

ここが一番の僕の課題かもしれません。

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